備前焼きは日本を代表する六古窯の一つに数えられ硬質の炻器(せっき)です。また、使い込むほど味わいが深まるのも備前焼の特徴です。ここでは備前焼の特徴と陶芸体験案内、2020年10月に開催される備前祭り情報をお届けします。

備前焼の特徴

備前焼(びぜんやき)は岡山県南東部に位置する備前市周辺を産地とし日本古来の日本六古窯(にほんろっこよう)の一つに数えられてます。

備前の土は耐火度が低い為、焼きを行う事で収縮が起こります。これが釉薬必要としない備前焼の最大の特徴です。それに備前焼は、窯で使う燃料を赤松などで行うので、『灰』が独創的な模様を作ります。

『日本六古窯とは』

中世から現在まで生産が続く陶磁器窯の代表的な6箇所の総称です。その6つの窯が「越前焼・瀬戸焼・常滑焼・信楽焼・丹波焼・備前焼」です。

『備前焼の特徴は大きく分けると2つ』

その1:焼締め(やきしめ)
高温で約2週間かけ生成させる焼締めは吸水性が少なくなる為「急須・湯呑み・茶碗・壷・花瓶」などの水物に用いられます。また、備前焼は炻器と呼ばれ陶器と磁器の中間的な物で、その音色はたたくと「にごった音」がします。

その2:釉薬(うわぐすり)
備前焼は素材の風合いがとても良く出ている作品が多いです。これは釉薬を使わない事で自然の風合いが出る、と言われています。その結果様々な自然現象が起きています。数ある自然現象の中からピックアップして説明いたします!

『備前焼の多様な発色模様』

「窯変(ようへん)」
作品を焼く時、直接炎が当たらない事で還元焼成(いぶし焼き状態)で生じる窯変で、ネズミ色・暗灰色・青色等に発色します。

備前焼徳利

「作家」石田育男作

「胡麻(ごま)」
作品を焼く時の燃料、松割木の灰が作品に付着する事でまるで「胡麻をふりかけたような状態」になったものです。また、降りかかった灰が熱で溶け流れた物を「玉だれ」と良い独創的な作品になります。最近では人為的に胡麻を出すため技術も進んでいます。

備前焼茶碗

「棧切り(さんぎり)」
棧切りは木炭の化学反応を利用する事で独特の風合いを出す事ができます。

備前焼湯呑み

「緋襷(ひだすき)」
作品同士がくっつくのを防ぐため、ワラを間にはさんだり巻いたりして焼いたものが、独特の緋色(ひいろ)の線となって現れます。これはワラの成分と粘土の鉄分が科学反応を起こしていると考えられます。

備前焼マグカップ

備前焼まつり2020年情報

備前焼まつりは古く昭和58年から行われていて、基本的に毎年10月第3日曜日と前日の土曜日に開催されています。

現在では期間中約10万人の来場者で賑わう国内でも有名な焼き物まつりまで発展しました。会場では備前焼陶友会員全店舗が出店し、また特設会場では備前焼をお求め易い価格で展示即売会などが開催されています。

備前焼まつりポスター

(2019年度備前焼まつりポスター)

『備前焼まつり2020年情報』

開催期間:2020年10月17日(土)~18日(日)
開催場所:備前焼伝統産業会館、JR赤穂線伊部駅周辺

備前焼まつりマップ
住所:〒705-0001・岡山県備前市伊部1657-7
(備前焼伝統産業会館)
電話番号:0869-64-1001(備前焼まつり実行委員会)
アクセス:
・ クルマでしたら・山陽自動車道備前ICから約15分、和気ICから約10分
・ 電車でしたら・・ JR伊部駅からすぐ
「駐車場」
駐車場は約2000台分準備していますが、混雑を緩和する為できるだけ公共交通機関をご利用ください。

備前焼おすすめ製品

備前焼のおすすめ作品は、ビヤグラスや湯呑み茶碗、徳利やマグカップなど水物を入れる焼き物がおすすめです。

「ビールグラス」備前焼はビールを美味しくする

ビールは泡が命!備前焼の細かい凹凸が泡を多く出し、その泡がきめ細かく消えるまでの時間が長く続きます。

備前焼ビールグラス伝統的工芸士 猪俣氏作

「コーヒーカップ」コーヒーが冷めないうちに

コーヒーは熱いうちが良い!備前焼の土はきめ細かい為保温性が高い。コーヒー、紅茶、お茶など暖かい飲み物は冷めにくくなっています。

備前焼コーヒーカップ備前焼陶芸作家・井口淳作

「徳利(とっくり)」うまい酒ができる

備前焼には無数の細かい気孔があるため、長時間入れて置くと微量な通気性で酒やウィスキー、ワインがまろやかになります。

備前焼徳利セット

備前焼を楽しもう!陶芸体験

備前焼陶芸体験を楽しむには、備前焼伝統産業会館でも可能ですし公式ホームページでは様々な窯元で行われている陶芸体験が紹介されています。
(画像をクリックしますと公式ホームページへジャンプします)
備前焼陶芸体験

所在地:岡山県備前市伊部1657-7
営業時間:9:00-17:30
「土ひねり体験」
土曜・日曜・祝日のみ開催
休館日:毎週火曜日(火曜日祝日の場合翌日)12月29日~1月3日

アクセス:
クルマの場合
・ 広島方面:山陽自動車道・和気インターから約15分
・ 大阪方面:山陽自動車道・備前インターから約15分

電車の場合
・ 岡山駅からJR赤穂線で約35分・伊部駅下車すぐ

バスの場合
・ 岡山駅から宇野バス「伊部・片上」行で約55分/伊部駅下車・徒歩1分

まとめ

独創的で且つ、作家さんの個性豊かな備前焼は使い込むほど味わいが変わる一生物の焼き物だと私は思います。

多少他の産地に比べると値が張る急須や徳利・ぐい呑セットもありますが、焼き物を見ながら料理を頂くのは祝福の極みです。

手にとって質感、見た目、どれも味わい深いものですのでぜひ産地に直接足を運んでご覧いただければと思います。